モーラー奏法とは
最近では日本国内のドラマーの皆さんも『モーラー奏法』というのは聞いたことがあると思います。
ドラムレッスンに通われる生徒さんの中にも、専門学校卒業の方がいらっしゃり、専門学校時代に講師の先生から少し聞いたことがあるとお伺いしました。
ただ、『身体の使い方』のところまでをレッスン・解説できるドラム講師の方が国内どこでも学べるほど十分にはいらっしゃらないので、できる限りの説明を本サイトで出来ればと思っております。
モーラー奏法の基本
モーラー奏法とは?と特徴を考えるときにまず最初にイメージしてもらいたいのが、回転、重さ、脱力という3つのポイントです。
回転動作で演奏し、身体の重さを利用して音を出すために、脱力している状態でいる必要があります。
回転の動きについて
回転といっても実際にどんな回転?どこを回転するの? モーラー奏法を紹介している写真とか動画を見ると、なんとなくふにゃふにゃしててカッコ悪いんですけど...
そんな言葉が聞こえてきそうですが…
指、手首全体、腕全体、肩を使って回転の動きをします。
指自体が回転するわけではなく、指を使ってスティックを回転させます。
手首に関しては手の上下運動ではなく、手首自体が回転するように動かします。
手首を回転するためには腕全体を回転させる必要があり、その際に肩が固まっている状態では腕は回転することができません。
ドラムを演奏するには上記のものそれぞれを回転させるわけではなく、連動して動く必要があります。
身体の重さの使い方について
ありがたいことに地球には重力があり、我々人間には重さがあります。
さらにはドラムの打面(ヘッド)は上を向いています。
ドラムの上から何か重さのある物を落としてあげれば、ヘッドとぶつかり音がなりますよね?
力を入れて思いっきりドラムをひっぱたく必要は無いのです。
肩から先の腕の重さを使うだけでも、ドラム演奏に十分なエネルギーを出すことができるので、ドラムで音を出すのに無理に力を入れる必要はありません。
ドラムを演奏するのに大事なのは『筋トレ』ではなく『身体を上手に使う感覚』です。
スピードに対応するには早く動かすための筋トレが必要と思われている人もいるかもしれませんが、ドラムを演奏するときのスティックはバウンス(リバウンド)してくるのでそれを利用して早く動かすための感覚を養えばいいのです。
体格差には勝てないよね?なんて事を聞くことがありますが、対象はあっても楽曲のアンサンブルを考えた時に体格差で出る違いは無いと思っています。
脱力について
回転の動き、重さの使い方と説明をして決ましたが、両方を活かすための身体の状態が脱力なんですね。
スティックをギュッと握って振ってみてください。
動きが硬く、ぎこちなくなってしまわないでしょうか?
腕の動きも直線的な動きになってしまわないでしょうか?
回転の動きをちゃんと利用するには脱力状態(リラックスしている状態)でいる必要があります。
また、力を入れるということはせっかくスティックにある重さ、身体にある重さを自らの力で持ち上げてしまう(地球の重力に耐える)事になります。
重さのエネルギーを楽器に伝えるのではなく、自分で支えてしまうわけですね。
何もしないで存在しているエネルギーを吸収してしまっているわけです。
せっかくの重さを無駄にしてしまっているわけです。
動きをするのにも、音を出すのにも筋肉の力みは邪魔になるんですね。
もちろんスティックを持ち上げたり、腕を動かしたりするのにも筋肉は多少動いてます。
でも、それは日常生活で必要な筋力以下ですね。
ドラムを演奏するのに日常以上の筋肉は必要ないということです。